矯正歯科治療で生じうるリスクや副作用について

①矯正装置装着後の歯の痛みと発音
個人差はありますが、3日から1週間程度、疼き・歯痛・冷水痛を感じることがあります。
また、装置になれるまで発音しづらいなどの症状がでる事があります。
ワイヤー矯正では、ワイヤーを交換した後、インビザラインではマウスピース(アライナー)を交換した後にも痛みでる場合がありますが、数日でおさまる場合が多いです。

②口内炎と潰瘍
矯正歯科治療中に装置が当たることで頬の内側に傷がついたり、口内炎になったりする場合があります。この場合は必要に応じカバーとなるワックスをお渡ししております。

③矯正治療中の外観
一般的なワイヤー矯正は、歯の表面に器具を装着するため、会話や食事の際はワイヤー等の矯正装置が見えることがあります。気になる場合は、白いワイヤーや目立ちにくいブラケットを使用する事で対処しています。
当院では、目立たない舌側矯正は、そのデメリット(装置の違和感を生じやすい・発音がしづらい・食事のストレス・歯磨きが難しい・表側矯正の装置より費用が高い)等を考慮して行っていません。
矯正治療装置を気づかれないようにしたい患者さんには、マウスピース型矯正(インビザライン・トレーナーシステム等)や都合の悪いときは取り外し可能な床矯正装置を勧めしています。但し、それらは全ての症例に適応出来るわけではありません。

④顎間ゴム
治療期間中に歯を良い位置に導くため歯に装着しているブラケットとブラケット(あるいはリンガルボタンとリンガルボタン)の間に透明なゴムをかけて頂く場合があります。顎間ゴムは基本的に1日20時間以上の使用が必要となります。使用しないと治療期間が延長したり、治療計画通りに歯並びや噛み合わせを整える事が出来ません。

⑤歯肉退縮
治療中に歯肉退縮と言う歯茎が下がり歯の根が一部露出することがあります。それは、歯を支えている骨が薄い事が原因の場合もありますが、多くの方の場合は元々重なり合っていた歯の下に骨が存在していなかった事等が考えられます。
小児矯正の場合はあまり歯肉退縮は起こりませんが、30代以上で矯正治療をされる方はこの歯肉退縮を完全に避ける事は難しいと思います。
また、歯肉退縮により歯の間に生じる三角形の隙間(ブラックトライアングル)は、矯正治療をしなくても歯茎が健康であればエイジング(加齢)によっても起こる現象です。
ブラックトライアングルに対する対処法はいくつかありますので、ご相談ください。

⑥歯根吸収と歯髄壊死(失活)
矯正治療中に歯根が短くなることや歯の神経が失活する事があります。
当院では、歯垢の吸収や歯髄壊死が起こらないように弱い力で少しずつ歯を移動させます。しかし、希に矯正治療中の一時的な噛み合わせの状態によっても起こることがあります。また、特に上顎前歯部を後方に移動させる際に“切歯孔”という部位に歯根の先端がぶつかると歯根吸収する事もあります。この対策として、事前の矯正の検査で、CTにより歯槽骨の厚みや切歯孔の位置などをしっかり把握し歯の移動計画を立てるようにしています。

⑦マウスピース型矯正のリスク
マウスピースは就寝時にも装着しておく必要があるため、強い歯ぎしりがあるとマウスピース自体が破損する場合があります。
自分自身で外すことができるため、歯科医師の指示に従わずに外しがちになる時間が多いと治療効果は期待できません。インビザラインの場合は、1日22時間以上装着しなくては計画通りの歯の移動は行えません。できれば、食事や歯ブラシをするとき以外は外さないで装着してください。

⑧アレルギー
ワイヤー矯正装置は、金属アレルギーのある方は難しい場合があります。
矯正装置を装着したあとにアレルギー症状が起きた場合は、歯科医師の指示を仰いでください。なお、金属アレルギーの方には金属を用いないマウスピース型矯正(インビザライン・トレーナーシステム等)をお勧めしています。但し、マウスピースの素材にもアレルギー症状が出る場合もあります。

⑨むし歯や歯周病
矯正治療中、十分にブラッシングができないと虫歯や歯肉に炎症が起こる場合があります。
特にワイヤー矯正では、矯正装置(ブラケット)の周りなど、歯磨きしにくい部分ができるため、虫歯や歯周炎のリスクが高くなります。
当院では、毎月定期的な口腔内の清掃と磨き残し部位の確認とブラッシング指導をおこなっています。また、フッ素やMIペースト(リカルデント)の塗布を行い歯質強化をし虫歯予防を徹底しております。
小児矯正においては、如何してもブラッシングが不十分な場合、ワイヤー矯正から取り外しのできるマウスピース型矯正装置に変更する場合もあります。
虫歯や歯肉炎を発症させないためには“食生活”も重要になってきますので、甘い物やスナック菓子などの取りすぎや過度な間食は避けた方が良いと考えます。

⑩不定愁訴
矯正歯科治療中、頭痛、首・肩のこり、倦怠感、吐き気など不定愁訴が起こる場合があります。

⑪顎関節症
治療中に開口障害・頭痛・耳鳴り・筋の硬直等を生じる事があります。多くの場合は経過観察を行っている間に症状は自然に消失します。強い症状が出た場合は装置を一度撤去し、安静にしながら症状の改善を待つ場合やスプリントによる治療を行うこともあります。当院では、顎関節の動き(顆路)と奥歯のかみ合わせ(咬合平面)の関係と奥歯のかみ合わせの高さ(咬合高径)を適正化して、できるだけ顎関節に負担がかからないかみ合わせを目指した矯正治療を行っています。

⑫治療終了後
歯は治療後、元の位置に戻る傾向があります。そのため装置除去後、取り外し式のリテーナーを装着し後戻りを抑える必要があります。
また、矯正治療後に人によっては咬み合わせが悪く感じたり、頭痛、肩こりを招く事があります。しかし、ほとんどは時間の経過と共に新しいかみ合わせに適応して症状は消失していきます。如何しても改善が見られない場合は、かみ合わせの治療を行う場合もあります。

<参考>https://ishiisika.com/blog/?page_id=592

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